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社長室、役員室を無くしてみた!!

今回は、前週に引き続き、
ダイナミックな経営で、
見事なV字回復と新しい発展を遂げている
ハウステンボスについての第2弾です。

第1弾 自力か?!他力か?!! は↓から
http://plus.combz.jp/backnumber/detail?oid=uysr9546&gid=&mid=136

あなたの会社には、社長室、役員室はありますか?

素敵なインテリアと、大きな机の社長室には
ステータスを感じる方も多いのではないでしょうか。

又、スタッフの立場からみれば、
社長室・役員室は、
敷居の高さを感じるかもしれません。

以前のハウステンボスには、
立派な社長室、役員室が設けられ、場所も場内に
点在していたそうです。

スタッフが決裁をもらうためには、
その部屋を訪ねて回る必要がありました。

H.I.S.の澤田秀雄社長が、
ハウステンボスの社長に就任してすぐ、
社長室、役員室を廃止し、
大きなフロアの部屋に、スタッフと一緒に机をならべて
仕事ができるように変えたそうです。

ある日、
女性社員がお客様との電話応対をしていましたが、
それは約30分の長きにわたり、
その間、彼女はずっと謝っていました。

クレーム対応をしていることが、
同じ部屋の中にいる、
澤田社長にも自然に感じ取ることができるほどでした。

女性社員が電話を切った直後に、
澤田社長がその社員をすぐに呼び、
「今のクレームは、『会社のシステムによるもの』なのか、
それとも『ヒューマンエラーによるもの』なのか?」
と尋ねました。

女性社員が『会社のシステムによるものだと思います』と答えると、
すぐに、それに関する運営担当と営業担当を呼び、
その場で意見を求めました。

その結果、システム上の問題の解決には
いくつかの方法があることがわかり、
その場で概算金額をヒアリングし。
1千万円単位の予算があれば解決することが判明しました。

そこで、澤田社長は、今度は同じ部屋で、横にいる役員に呼びかけ、
椅子を横に向けて、その場で臨時の取締役会を開き、
対応予算を決裁しました。

そして、もう一度女性社員を呼び、
「先ほどのお客様に、『このように改善することになりました』と
あらためて、お詫びとご報告の電話をするように」
と伝えたのです。

部屋のスタッフらはこのスピード感に驚愕しました。

これだけの問題解決が、
その日の内に、しかも、数時間で出来てしまう。

社長は社長室、重役は役員室にいるという体制では、
そもそも、このようなクレーム情報が
直接社長や役員の耳に入ることはほとんどなかったでしょう。

仮にスムーズにこの問題の対策が検討されたとしても、
問題解決の事業を企画し、
見積をとって予算をたて、
企画書を書きあげて、
会議の資料を作って会議を開催して、
そして、役員・社長の決裁に回す・・・

いったい、どれだけの時間がかかっていたでしょう。

★ここで、大切なのが視点です。★

働いているスタッフは、
「お客様を見て仕事をしているか?」

それとも
「社内の上司を見て仕事をしているか?」

以前は、
スタッフは、会議資料や打合せに忙殺され、
仕事の時間の大半を、
社内の根回しと決裁をとることに追われていたそうです。

仕事のエネルギーの80%近くを
社内に向けていた感があった当時は
決裁のスピードも、
平均1ヶ月以上かかっていた。

それが、現在は、決裁は最短1日で決まる。

早く決断することで、
準備に時間をかけることができ、
軌道修正をしながら実行していく
というスタイルになっているそうです。

「お客様へのサービスを向上させる」
「お客様のニーズを叶えていく」
そのための時間をつくるために
社内調整にかかる無駄な時間を省いていった。

だから、スタッフの仕事の時間を
「社内の調整」ではなく、
「来場者の満足」へ向けることができるのだと。

そのための象徴ともいえる改革が、
社長室、役員室を無くし、
ワンフロアで一緒に仕事をするという仕組みだったのですね。

さて、あなたの会社には社長室・役員室はありますか?

ちなみに、私達、エスケイ・アイ・コーポレーションの場合、
以前の社長室をリフォームして
お客様をお迎えする第2応接室にしました。

そして、使っていなかった別の部屋を
社長室にすることにして
スタッフの手作りで改装。
個人情報等を保管する為に
鍵を付けて「社長不在の社長室」(笑)にしています。

まだまだ理想と現実のギャップが
大きいと感じる日々ですが、
今回の鶴田さんから伺った教訓を胸に、
スタッフと一緒の空間で、
視点を「お客様へのサービス」に向けた
組織であるように精進していきたいと思っています。

先週の続編となりましたが、
お話を伺ったのは、
ハウステンボス・技術センター(株)
取締役 経営企画室長 鶴田修一さん

山あり谷ありのハウステンボスの中で、
創業2年前に入社し、取締役として
これまでに8名の社長に仕えながら、
以前の経営も、そして現在のダイナミックな経営も
社長のすぐ近くで経験してこられたからこその視点には
とても共感し、学べることが多くありました。

来週は、このシリーズの最終回
ハウステンボス経営の過去と現在シリーズ第3部
「変化への挑戦」をお届けします。

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