日本の、そして地方の大きな課題は、「事業承継」。
経営者が高齢化する中、
後継者が見つからず、事業承継ができずにやむなく廃業する。
それが地域の大きな課題になっています。
その原因は、
1:経営者の連帯保証
2:経営権の移転
3:相続税
など、簡単ではない問題が山積しています。
2週前のメルマガでもご紹介した
フューチャーベンチャーキャピタル株式会社
代表取締役社長 松本直人氏が、
講演の中で紹介されたのが、
「地方で年間売上20億を誇り、きちんと利益を出し続けている企業」の事例。
M&Aによる事業承継を検討されていましたが、
デューデリジェンス(投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査すること)
の結果、なんと債務超過と判断され、
買値がつかずM&Aが不成立となってしまったのです。
この問題を解決する為に、
地方創生ファンドが用意した手法は画期的なものでした。
1:地方創生ファンドが、現在代表者とその他株主から、
全株式を譲渡してもらい、譲渡代金を支払う。
その際、ファンドが取得した株式は「無議決権化」してしまう。
2:現在の代表者に対しては、企業より「役員慰労退職金」を支払う。
3:新代表者(一族外の後継者)には、新株主として株式出資してもらい、
経営を担ってもらう。但し出資額は一部。(事例では1%の株式のみ購入)
新株主の出資額は一部とはいえ、ファンドが出資した株式は「無議決権」なので、
低い出資額でも一定の経営権を確保できるという仕組みです。
4:ファンドは、新代表者の経営を支援します。
一方、ファンドは経営者の「選任権」は保持しているため
経営者の退任を要求する権利はもっています。
前回のメルマガにも書きましたが、
最低限のリスク管理はするという仕組みです。
5:事業が軌道に乗って「利益剰余金」がたまったら
ファンドは「取得請求権」を、新代表者の企業に対して行使し、
ファンドが出資した株式を買い取ってもらい
段階的に資金を回収します。
この仕組みの大きなポイントは、
後継者である新株主が、最初に株式を買い取るための準備資金が少なくて済むことです。
当初の株式が10%や、場合によっては1%といった少額であっても、
一定の経営権を確保できることは、引き継ぐ後継者にとって、
資金的なハードルを越えやすくなります。
株主決議においては、「議決権の有無」が重要となります。
後継者の持ち株比率が低くとも、「ファンド保有株式を無議決権化」してあるので
後継者の持ち分で100%の経営権とみなすことも可能となるのです。
前述の会社の事例では、
売上20億で利益も出し続けているのに、
M&Aの手法では債務超過と判断され、
買値がつかず不成立だった企業が、
このスキームによって、事業が継承されました。
もともとの代表者株主に対しては、
3千万の株式譲渡代金と、
7千万の役員慰労退職金を支払うことが可能になり、
新株主も段階的に株式を取得し、
事業承継が成功したとの事でした!
まさに、
「地元企業の事業承継」
「金融機関の取引継続」
「地域経済の下支え」という三方よし!
の結果を実現しているのです。
地方に関連するヤル気のある起業家を支援し、
さらには、事業承継を成功させることで、
「共感・感動のスモールビジネスを育て、日本を活性化する」
という松本直人氏の講演を聴いて、
日本と地方の未来に夢がふくらんできました。
フューチャーベンチャーキャピタル株式会社