今年の夏は異常な暑さではありますが、
カレンダーの巡り合わせによって、
いつも以上に長いお盆休みになった!
という方が多かったのではないでしょうか?
先日、今も一年の半分ほどトルコで仕事をしている親戚が、
佐世保に遊びに来てくれて、一緒に食事を楽しみました。
商社マンとして70か国以上で食べ歩きしてきた彼に言わせると、
「佐世保の街のポテンシャルは凄い。いつバズってもおかしくない。
食べ物が美味しく、個性ある魅力的な飲食店が数多くある。」
本当は世界に見つかって欲しくない!?という気持ちもあるそうです。
「今のような値段では楽しめなくなるかもよ!?」と複雑ですが嬉しい言葉を貰いました。
さて、今回のテーマは、
海外バイクツーリング冒険記2回目のオランダ編2
~えっ話が違う!どうなる?バイク売却~
是非、お読みください!
(‘◇’)ゞ
(この冒険記は、1986年当時の日記とアルバムを基にした書き起こしです)
1986年10月28日火曜日 (雨)
バイク売却の話がついて、アムステルダムのビルヨウ家のベッドで熟睡。
朝起きると、今日も雨。
しかし、ビルヨウ家での朝は快適だ。
ホテルと違ってバタバタと準備しなくて済むのはなによりだし、
まるで家族のように、ソフトに気を使ってくれて居心地は最高。
朝10時30分に、買い手のピュルブム氏が、
僕のバイクを受け取りにくる約束だったので、朝から最後のクリーンアップだ。
YAMAHA XT350号に長旅の感謝の気持ちを込めて、ピカピカに磨き上げた。
ピュルブム氏が来られたときに、スタートに手間取らないように、
エンジンをかけて、暖機運転をして、準備万端だ。
そうこうしていると、ハンスがガレージにやって来て、電話のジェスチャーをしながら、「プロブレム!プロブレム!!」と言う。
電話に出てみると、ピュルブム氏が、プライベートで流すはずだった顧客が、バイクの購入を断ってきたので、税金抜きでは取引できないと言う。
そうすると、3500ギルダー受け取れるはずが、20%の税金を引かれて、2800ギルダーになってしまう。
ピュルブム氏は3000ギルダーで取引しようと言う。
この金額では納得できない!
しかも、考えてみると、ピュルブム氏のやり方も怪しい!!
昨日、3000ギルダーのみ、先に渡してくれたけれど、
後出しで、税金の話を持ち出すように計画していたのかもしれないと疑ってしまう。
ピュルブム氏は、昨夜の交渉の時と同じ調子で、
「3000ギルダーでOKなら取りに行く。嫌なら、他へ売ってくれ」と言う。
そこで、ハンスにも相談した結果、
バイクを購入したお店「ヴァインハートMOTO」に行って相談してみることにして、ピュルブム氏との電話を切った。
早速ルッカのカッパを着込んで、ピカピカに磨き上げたXT350号に乗ってヴァインハートさんの店に向かった。
店に着くと、買ったときと同じように温かい歓迎をしてくれた。
早速、ピュルブム氏との売却交渉のことを相談してみると、
最初は、「16000㎞走行なら、やはり税金を差し引くと3000ギルダーだな~」と言う。
だけどXT350の見た目には自信があったので、「だけど、僕のXT350はまだ新車で買ってから3か月しか経っていないし、美しさを保っている。バイクを診てください」と言って、ヴァインハートさんを表に連れ出した。
すると、「OK、キャッシュで3150ギルダー出そう」と言ってくれた。
そこで、早速ピュルブム氏に電話して、「ヴァインハートさんは3150ギルダーで買ってくれるので、バイクはヴァインハートさんに売却する」と告げた。
すると、ピュルブム氏はすかさず「3150出す」と言ってきた。
ヴァインハートさんにそのことを伝えると、「受話器を貸してくれ」という。
ヴァインハートさんは少し怒って、ピュルブム氏に訳の分からないオランダ語で怒鳴っていた。
その後、しばらくヴァインハートさんと談笑。
買い手を選ぶ権利は僕にある訳だけど、問題はバイクの書類をピュルブム氏に渡してしまっていることだ。もし、ヴァインハートさんに売ると言ったら、あーだこーだと言ってくることは間違いない。そうこう話している内に、ヴァインハートさんが、もし、書類を取り返して、バイクをウチに打ってくれるなら3250ギルダー出そう!とさらに値を上げてくれた。
税金のことを考えると、4000ギルダーで買ってもらえたとしても、20%の税金を引くと3200ギルダーになってしまう。すると貰えるキャッシュは3200ギルダーになってしまうので、ヴァインハートさんにしてみれば出血大サービスだ。8000㎞走行時での値段だ。
しかも、ヴァインハートさんは、「もしもめるようだったら、ピュルブム氏に売っても気を悪くしないから、NO PLOBLEMな方法をとって良いよ」ととても親切に申し出てくれた。
「う~っ感動!むちゃくちゃ温かい気持ちにさせてもらった」
そこで、ヴァインハートさんに、ピュルブム氏の店への道順を教えてもらって、バイクを走らせた。
バイクで走りながらいろいろと考えてみた。
ヴァインハートさんは親切にも良い値段を出してくれたんだけど、よく考えてみると、そんなに深刻な状態ではないと思うけど、エンジンの調子は、絶好調とは言えない。カムノイズが出てから3000Kmは走り続けてきたし、若干心配だ。
シートレールを溶接したことも、錆の上にテープを貼っていることも、ヴァインハートさんは知らない。
…そんなことを考えると、ヴァインハートさんに売ると、お互いに悪い想いをすることになるかもしれない。
そこで、ピュルブム氏が同じ3250ギルダーを出すなら、ピュルブム氏に売ることにしようと心の中で決めて、ピュルブム氏の店を訪ねた。
ピュルブム氏に会って「悪いけど、やはりヴァインハートさんに売ることにした。ヴァインハートさんはもっと良い値段を出してくれた」と伝えた。
すると、例によってピュルブム氏は「それはいくらだ!幾らなんだ!」とぶっきらぼうに聞いてくる。そこで正直に「3250ギルダーだよ」と告げると、
「3250出す」とすぐに返事が返ってきた。
そこで、前もって考えていた通り「OK」の返事をして。残金にあたる250ギルダーを受け取って、愛車をピュルブム氏に渡した。
「Our business is FIN」と言って、こちらから手を差し出して握手した。タフな交渉相手だったけど、交渉は成立し、愛車と現金の交換も終わった。
ビルヨウ家まで、ピュルブム氏に送ってもらい、そしてすぐにヴァインハートさんに電話を入れた。「最初に紹介してくれたハンス・ビルヨウさんの顔を立てなければいけないから」ということを理由にして、申し訳ないけどピュルブム氏に売ったことを伝えた。
そして、今日受け取ることのできたプラスアルファの250ギルダーは、ハンスさんとヴァインハートさんのおかげなので、沢山のお礼の言葉を、数少ないボキャブラリーの中から一生懸命並べて伝えた。ヴァインハートさんは、「No problem. We are friend.」と言ってくれた。
3250ギルダーは当時のレートで約21万円。
3か月、16800㎞の旅を共にして、
愛車というより、愛馬のような感覚になっていたYAMAHA XT350号。
とうとうお別れだ。おかげで無事に旅を完遂できた。
ありがとうYAMAHA XT350号。本当は日本に連れて帰りたかった・・・。
To be continued.