profile profile

海外バイクツーリング冒険記アフリカ編14 『砂漠のオアシス~タメルザ遺跡~冒険記』

あけましておめでとうございます。

 

新型コロナが5類に分類されて初めての新年を迎えました。

この辰年に期待を膨らませています。

 

しかし、能登半島地震、航空機事故と、

新年早々大変なことが起きてしまい、

心痛めながらのスタートになりました。

 

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

年の初めのメルマガは、不定期連載中の

海外バイクツーリング冒険記アフリカ編14

『砂漠のオアシス~タメルザ遺跡~冒険記』です。

ぜひ、お読みください。

 

(‘◇’)ゞ

 

(この冒険記は1986年当時の日記とアルバムを基にした書き起こしです)

1986年9月30日火曜日 晴れ チュニジア砂漠地帯TAMERZA

 

【砂漠ラン…仲間は多い方が良い】

今日は、昨日までの雨で砂埃が洗い流されたかのように、

とても澄み切った快晴だ。

しかも風もない上に、砂も適当に湿っているので、

砂埃が全く飛んでこない。

 

最高のピスト(オフロード)ラン日和だ。

 

TOZEURで、デニー・ネリ・ラルフの3台と合流し、

EL HAMMAからピストを通ってTAMERZAへ向かうプランだ。

 

しばらく走っていると、反対側から二人乗りのYAMAHA XT250がやってきた。

フランス人のカップルだった。

 

彼らの話によると、昨日の雨のための増水で、

この道はこの先、冠水して通れなくなっているらしい。

 

仕方ないので、昨日リヨネラとロゴンスと別れた街METALOUIに戻って、

そこからアスファルト舗装された道を通ってTAMERZAに向かうことになった。

 

通行止めの情報を教えてくれたフランス人カップルのXT250も合流。

合計5台7人のツーリンググループになった。

アフリカ・チュニジアでは、これくらいの集団のほうが安心だ!

 

 

【実感:自分より上のレベルの中にいると、引き上げられる!】

僕は、前日宿泊したネフタのホテル“ツーリングクラブ”に

連泊することにしたので、旅の荷物は全部ホテルに置いてきた。

だから、久しぶりに重い荷物無しで、身軽なバイクで走れた。

僕のXT350は快調そのものだ。

ちょっと調子に乗りすぎたな~というくらい走るのが楽しかった。

砂漠のオフロードを荷物無しの身軽な状態で、自由自在に飛ばせるのだ。

チュニジアの若者は、ウイリーを見ると大喜びしてくれるので、

つい調子に乗ってしまうし、期待に応えてしまう。

フランスの山岳を走っていた時、

スイスチーム「4TACT TEAM」の中では、技術的にドンケツで、

ついて行くだけで必死だった。

しかし、ここアフリカで普通のライダーの中に入ると、

僕の技術も、それなりのレベルになったかなと感じてしまう。

 

ガソリンスタンドで給油している時、

XT250に二人乗りした後部座席のフランス美人に、

ジッと見つめられて「You are KAMIKAZE」と言われてしまった。

 

僕としては安全マージンの範囲内で飛ばしていたつもりだったけど、

そう見えてしまったのは反省だ。

 

 

【砂漠のオアシス「タメルザ」遺跡】

デニーの案内で、まず、ベルベル人のキャニオンの村「ミデス」へ。

ここは、素晴らしい!の一言。

なんでこんなチュニジアの山の中に、美しいキャニオン、美しいオアシス、

さらにキャニオンのてっぺんに、古い石造りの街並みが…

と、ため息が出るほど感動した。

しかもあまりツーリスティック(観光客ずれした?)じゃなくて、

最高の雰囲気だった。

 

ミデスで出会った若者たちは、とてもフレンドリーだった。

みんなサソリのビン詰めの標本や、蛇の標本を持ってきて、売ろうとするのだ。

しかし、全くしつこくないし、とてもフレンドリー。

キャニオンを案内してくれる間、一緒にチュニジアの歌を歌ったり、

「あっサソリだ」と言ったかと思うと、繁みの中から、サソリの標本を持ってきたりと、

とにかく、明るくて楽しい若者達だった。

 

それから、本日のメインの目的地「タメルザ」へ、

このタメルザのオールドタウンを、川の対岸の山の中腹に当たる道から眺めた景色は、

完璧にチュニジアに来て一番の感動した景色だった。

 

昨日の雨のおかげで、川には水が流れ、遠くの山々は午後の日差しにかすみ、

谷間のオアシスの緑ははっきりと引き立ち、

そして、そのオアシスの中に、ドーンとタメルザの古い石造りの建物が浮かんでいるのだ。

ラルフと僕は、何も考えずに「ワオー」「ウォー」と叫んでしまった。

とにかく感動したのだ。

僕らにとっては、約2週間のチュニジア滞在の中で、

一番美しいところに出会えた日だった。

 

山を下りて、タメルザに向かうと、

道の途中を水が川のようになって塞いでいるのだ。

アドベンチャーバイクの仲間が、川のようになった道を渡っていく。

もし、一人だったら、こんな危険を冒すことは絶対にできない。

しかし、仲間が渡るのを見つめて、覚悟を決めて思い切って突入。

泥沼のようになった川をなんとか渡ることができた。

 

【メード・イン・ジャパンの誇り】

川を渡っている場所では、

フランス製のルノーの車がスタックして動けなくなっていた。

それを、日本製のトヨタランドクルーザーがウインチを使って救助していた。

流石だ!

 

タメルザのキャニオンの街を、デニーと地元の若者が一緒に案内してくれる。

楽しいけど、とても沢山歩いたので、ぐたっと疲れてしまった。

 

ところで、この日なんと、

僕の大事なバカチョンカメラ“ピッカリコニカ”がとうとう壊れてしまった。

おそらくサハラの砂嵐のせいだと思うけど、光量計が動かなくなってしまった。

シャッターは切れるのだけれども、動きがシブイ。

ラルフがカメラマニアということで、見てくれたのだけど、

このチュニジアで修理することは諦めたほうが良いという結論になった。

 

なんとかシャッターは切れるので、これでイチかバチか

このまま撮り続けるしかないと覚悟を決めた。

 

素晴らしい景色に感動しているうちに、日が暮れてきた。

そこで今日のリーダー役デニーの「Night coming. We had better return.」

という一声に、みんな従って、この道での横断を諦めて、

来た道を引き返すことになった。

 

今日は、そんなに長くオフロードを走ることは出来なかったけど、

荷物無しの、XT350で思いっきり走り回ることができた。

しかもグループだから、安心して走れた。

 

TOZOURの街に着いたときは暗くなっていた。

今日も終わった。良い一日だった…。

 

さあ、レストランで夕食を!というときに、

なんとまたパンクだ!

バイクは日本製YAMAHAだから壊れない!

しかし、リアタイヤはドイツ製のメッツラーだ。

 

こう頻繁にパンクすると参ってしまう!!

 

 

夕食後、エレクとネリ、ラルフが手伝ってくれて、パンク修理だ。

どうやら原因は、タイヤの中に入り込んでしまった小石のようだった。

 

やっと直ったかと思うと、

なんと今度は雨。最悪~。

 

ラルフと僕は、二人で雨の中、27キロ走って

目指すはNAFTAのホテル“ツーリングクラブ”だ。

 

そうこうしているうちに、時計は深夜12時近くになっていた。

 

こんな時間だから、連泊とはいえ、

ホテルが開いているか心配しながら、一路走っていた。

ホテルに着いたら、ちゃんと一人従業員が待っていてくれた。

(もう全部戸締りしてあったのだけど、エンジンの音を聞いて玄関まで出てきてくれた)

 

寝る前に、ラルフと二人で、僕のOLD CROWを飲んでバタンキューだ。

素晴らしかったけど、本当に疲れた~

一日を二日分に感じた、長い一日だった。

 

 

To be continued

メルマガ登録はこちら【毎週水曜配信