profile profile

海外バイクツーリング冒険記アフリカ編10 『幸運の砂漠の神?トラックとの遭遇!』

今週末、12月8日金曜日のお昼前頃から、

第25回YOSAKOIさせぼ祭り「フォトコンテスト」作品を、

させぼ四ケ町商店街アーケードにて展示します!

 

パネル約10枚を使って、応募いただいた全作品198点を展示します。

最優秀賞1作品、優秀賞2作品、佳作10作品もここで発表される予定です。

 

今回も、YOSAKOI演舞の魅力を、独自の視点でとらえた

個性的で素晴らしい作品の数々を応募いただいています。

 

作品の展示は、12月17日日曜日まで。

是非させぼ四ケ町商店街アーケードにてご覧くださいませ!!

 

今回のテーマは、

海外バイクツーリング冒険記アフリカ編10

『幸運の砂漠の神?トラックとの遭遇!』

 

ぜひ、お読みください。

(‘◇’)ゞ

 

 

(この冒険記は1986年当時の日記とアルバムを基にした書き起こしです)

 

1986年9月26日金曜日…続編(晴れ・酷暑)

 

【砂漠でプールに飛び込む夢…】

砂漠のオアシスのようなナセールの家を出発した時、

すでに午後になっていた。

 

ドウズの「ホテルのプールに飛び込む!」ことを夢見て、

砂漠の中の広いオフロードを、

2台並んで平均時速80㎞でぶっ飛ばす。

ところどころに、砂の深いところがあり減速が必要だが、

ここのサハラの砂は赤い目立つ色で、

遠くから分かるので結構飛ばせるのだ。

だけど、いくら走っても、ナセールの言っていた

あるはずの交差点が無い。

 

さすがに不安になって、一度停まってミシュランの地図を見た。

地図によると、ナセールの言っていた道は載っておらず、

24キロ手前のビアスルタンから、ドウズに行く道は続いている。

 

しかたないので、24キロ引き返して、ビアスルタンへ戻った。

そこで、警察の派出所のようなところを見つけて道を聞いて、大ショック。

なんと、ここから25キロ進んだところに交差点があるという。

 

なんと、あとたったの1キロだったのに、ここまで戻ってしまったのだ。

この暑いサハラで往復50キロの失敗は大きかった。

 

(当時、ミシュランの地図が一番信頼できて、それしか頼るものは無かったのだが、アフリカの道はどんどん変わっている様子で、完璧ではなかったのだ)

 

落ち込んでいてもしょうがないと、気を取り直して

また、2台で並んで砂漠の道をぶっ飛ばす。

さっき引き返したところから、たった1キロ先に、

ナセールの言っていた交差点があった。

 

【試練は続く…2度目のパンク!】

交差点の分かれ道を無事通過すると、

こんどは道幅が狭く、岩が洗濯板のようになっている酷い道になった。

 

リヨネラは後部座席のロゴンスに気を使ってスローペースで進む。

僕のYAMAHA XT350のシートは硬いので、

スタンディングの立ち姿勢で飛ばしたほうが楽だった。

 

しかし、なんと、またここでトラブルだ。

午前中に修理したばかりというのに、

こんな酷い道を飛ばしたせいか、またリアタイヤがパンクしてしまった。

 

もう午後4時近く。

まだドウズまでは75キロ近くもある。

とにかくドウズまでは、何もない砂漠なのだ。

 

とてもまた、パンク修理する体力も気力も時間もない。

この砂の舞う砂漠で、チューブにパッチを貼り付けることは、とても難しい。

 

リヨネラが、持っていた貴重なスプレー式パンク修理剤を、

親切にも僕に使わせくれた。

シューッと勢いよくタイヤが膨らんでいく。

 

これはスゴイ!と喜んで、走り始めたが、

しばらく走ったところで、停まってリヨネラを待っている間に、

また空気が抜けてしまった。

何度やっても同じだった。

 

だけどもうすぐ日が暮れる。

僕の2リットル入りの皮の水筒の水も、みんなで回し飲みしてあと少しになっている。

 

 

【もう行くしかない!パンクしたタイヤで砂漠を…】

もう最悪の事態を覚悟してでも、このまま走り続けるしかない。

パンクしたままサハラ砂漠を走ることにしたのだ。

 

最悪の場合、タイヤのワイヤーが破損する。

そうなると、ここチュニジアでは新品のタイヤを購入する手段はないので、

トラックでバイクをチュニスかアルジェまで運び、

さらにフェリーでフランスまで行かないと治せない。

 

しかしもう行くしかないのだ。

道はどんどん悪くなり、バイクはサハラの砂に埋まりかける。

だけど意外なことに、パンクしてつぶれたタイヤは、

砂に埋まらずに、しっかりとグリップしてくれるのだ。

 

普通なら砂でタイヤが空転して、転んでしまうような砂の深い所でも、

ダッダッダッと真っすぐ進んでいける。

 

リヨネラの重いBMWはすぐに埋まりかけてしまう。

砂の深いところでは、後部座席のロゴンスはバイクを降りて歩いていた。

 

だけど、ゴーグルの向こうに見える世界は、

砂が道の表面を薄く流れて、とても美しい。

パンクしたバイクで、暑い熱いサハラを砂に取られながら走っているのに、

美しいものは美しかった。

 

 

【幸運の砂漠の神? トラックとの遭遇!】

さらに進んで、薄暗くなってきた頃、モタモタしていると、

後ろからトラックが追いついてきた。プジョー製トラックだ。

 

めったに他の車とすれ違うことのない砂漠の中で、

これは、僕のバイクを積んでもらうチャンスだと、

手を振ってトラックを停めて、ロゴンスにフランス語で交渉をお願いした。

 

ドウズまでここから30キロ。

ロゴンスは最初1.5TDで交渉してくれたようだが、他の乗客がもっと貰えるよと

トラックの運転手にけしかけて、結局5TDということで話しがついた。

 

とはいっても日本円にして千円だ。このピンチを切り抜けられるのなら安いものだ。

さらに、リヨネラのBMWの負担を軽くするため、

ロゴンスも1.5TD払ってトラックに乗せてもらうことになった。

 

トラックの荷台に乗って、サハラの夕陽を見ていると、安心してどっと疲れが出た。

羊の隣に座っていたのだが、なんとなく横になってうつらうつら眠りそうになっていた。

 

ロゴンスは「もうドウズの街の明かりが見えるよ、あと5~6キロだね」と言った。

あたりはもう真っ暗になっている。

 

【危機は続く!BMWエンジンが砂漠でストップ】

突然、ロゴンスが「ストップ!ストップ!!」と大きな声で叫んだ。

なんとリヨネラのBMWが故障して停まっている。

 

リヨネラがトラックに止まってくれと合図したのに、

トラックはリヨネラを避けるように止まらずに行こうとしたのだ。

 

ロゴンスがちゃんと外を見ていたおかげで、リヨネラは命拾いだ。

 

BMWの症状は朝と同じ様子で、エンジンが始動できないのだが、

今度はヒューズを取り換えてもダメだった。

 

トラックには、もう大きなBMW R80を積むスペースは無かった。

 

そこで、ロゴンスもここでトラックを降りて、

リヨネラと二人でここに残り、

僕がいったんホテルまで行って、僕のバイクを降ろして、

ホテルを予約した後で、二人を迎えにトラックで戻ってくることにした。

 

ドウズまではあと5~6キロだったので、

スムーズに「ホテルサハリアン」まで行くことができた。

そして、バイクを降ろし、フロントで3人分のホテルの予約をした。

 

【裏切る訳にはいかない、友情と約束!】

さあ今度はリヨネラとロゴンスを迎えに行こうと、

トラックを停めた場所に戻ってみると、

・・・なんとトラックがいない!!

 

僕は、「ウエイト!ウエイト!」

トラックの彼は、「ウイ!ウイ!」と会話したのに、何も通じていなかった。

 

僕はまだ約束の5TDを支払っていなかったので、

彼は間違いなく、リヨネラのところに向かったと思った。

 

しかし、リヨネラの重いBMWを、

ドライバーとリヨネラとマドモアゼルロゴンスだけで、

トラックに上げるのは至難の業だ。

 

それに、真っ暗な砂漠の中で、二人は僕を待っているのだ。

「ここでいかなかったら男じゃない!」と、

かたっぱしから、ムチャクチャな英語でホテルの従業員や、周りにいた人に

「5㎞」「サンクキロメートル」と必死に頼みまくった。

 

やっとのことで、50CCのモトベカンヌを持っているというホテルの従業員さんが、

僕を連れて行ってくれることになった。

彼のモトベカンヌは、なんとヘッドライトが点灯しない。

なのに、真っ暗な道を平気でバンバン(のろいけど)走っていく。

いったいどういう目をしているのだろう?

 

ドウズの街を抜けて、砂漠のピスト(オフロード)に入ってしばらくしたところで、

向こうからプジョーらしい、黄色いヘッドライトの車が走ってきた。

モトベカンヌを止めて待っていると、やっぱり彼のトラックだった。

 

リヨネラもロゴンスも、ちゃんと助手席に座っている。

リヨネラの「ノリ?ノリ?」と言った時の、嬉しそうな顔は忘れられない。

 

一緒にホテルまで戻って、BMWを降ろして、チェックイン。

サハラでは無い、ちゃんとした人の住む街のホテルに辿り着いて、

本当にホッとした。

 

僕のYAMAHA XT350は重症のパンク。

リヨネラのBMW R80はもっと難しいエレクトリックプロブレムでエンジンがかからない。

 

だけど、とにかく今日は終わった。ホテルに辿り着き、無事だった。

 

教訓:サハラにおいて、Alone is dangerous. Alone is crazy.

一人での行動なんて、危険すぎて考えられない。

 

追伸:僕をサハラまで乗せていってくれたモトベカンヌのムッシューは、

お礼にとハーフディナールのお金を渡そうとしても、笑顔で受け取らない。

砂漠の紳士だった。

To be continued

メルマガ登録はこちら【毎週水曜配信