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海外バイクツーリング冒険記フランス山岳編3 ~スイス人ライダー達と感動の出会い~

前回の冒険記では、

大自然の中の長距離ダートロードを発見し、

目指していたものを見つけた~と感動した日々を綴りました。

 

その時は、天候に恵まれ、奇跡的に大丈夫でしたが、

大自然の中の未舗装路に一人きり・・・

 

もし転んで怪我でもしたら帰れないという危うさに気づき、

Alone is dangerous・・・一人じゃ危ない・・・

と心細さを感じていました。

 

今回のテーマは、

海外バイクツーリング冒険記フランス山岳編3

~スイス人ライダー達と感動の出会い~です。

ぜひお読みください!!

(‘◇’)ゞ

 

「不定期連載」の海外バイクツーリング冒険記…

…今年3回目となる「連載」の続きをお届けしますm(__)m

 

(この冒険記は1986年当時の日記とアルバムを基にした書き起こしです)

 

1986年9月3日晴れ

 

Lanslevillardのキャンプ場のテントはなかなか落ち着けるもので、

ゆっくり休んで、朝の出発は10時になってしまった。

 

今日は、夢に見るアフリカの砂漠の旅に備えて、

イタリア製の「アチャルビス」の大容量ガソリンタンクを求めようと、

フランスから国境を越えて、イタリアのトリノに行くことにした。

 

トリノに行く途中にも、たくさんの林道の入り口を見つけたが、

ここはガマンして真っすぐトリノを目指した。

 

トリノの街に着いて、1時間以上バイクショップを探して回ったが、

目的のタンクを置いているような店は見つからない。

 

とりあえず10ドルを、13,000リラに両替して、

バイク雑誌を購入して、メーカーの「アチャルビス」を見つけて電話してみた!

しかし、英語は通じず、イタリア語はチンプンカンプンで

全くなんのことやらわからず断念!

 

もう2時をまわりお腹もすいたので、メロウというハンバーガー店に入って、

ポパイバーガー(ほうれん草と卵のバーガー)、そしてチーズバーガーをほおばった。

これはうまかった!

 

イタリアは泥棒天国と聞いていたので、バーガーを食べている間も、

慎重に注意してバイクをちょくちょく見張っていた。

すると、バーガー店の店長さんが、僕のバイクに興味を持ったみたいで

英語で話しかけてきてくれた。

 

そこで、「アチャルビス」のタンクの話をすると、

なんと電話帳をめくって店を探して電話で確認した上に、地図まで書いてくれた!

先入観でイタリア人と聞くと泥棒みたいに警戒していたけど、

イイ人もちゃんといるのだ。

 

街中のビル街にある「GR」という大きなバイク屋さんに到着。

なんと、店内レイアウトは、万引き対策のため、

自分で勝手に商品を手に取って見ることはできないのだ。

 

商品は、カウンターの内側に設置された大きな棚の中にあり、

店員さんに相談して、持ってきてもらい見せてもらうという仕組み!

 

20分くらい待って、やっと自分の順番が回ってきた。

店員さんにYAMAHA XT350用の「アチャルビス」のタンクが欲しいと伝えたら、

なんと、僕のバイクはイタリアには輸入されていない機種なので、

その製品はありません・・・と残念な答え。

あえなくアチャルビスのタンク計画は頓挫した。

 

気を取り直して、フランスに向かってバイクを走らせた。

イタリアとフランスの国境にあった酒店に入ってみると、

なんとウイスキーがウソのように安い!!

当時日本で買うと4千円はするスコッチが、千円くらいで買える!

バーボンのオールドクロウが1600円くらいで買えた!!

 

・・・と、喜びながら店を出てみると、

なんと目の前に、エンデューロバイク・オフロードバイクの軍団が停まっている。

 

オーストリア製KTM600、KTM250、

さらにHONDA XR600、YAMAHA TT600と、

約10台のマシンが整然と並んでいるのだ!

憧れのバイクが勢ぞろいしているぞと、思わず写真を撮影していると、

向こうから声をかけてきてくれた!

 

話を聞くと、この軍団は、

スイスのエンデューロ(耐久レース)チームの人たちだった。

 

なんと、「これから、もう一回山に登るから、一緒に来ないか」と誘ってくれる!!

 

重い荷物を積んだまま一緒にいけるかなと不安もあったが、

これはめったにないチャンスだと思って、思い切って一緒に登ることにした。

 

未舗装路についたと思ったら、

イキナリ壁のような急な斜面を駆け上がっていく!

 

ここは、冬はスキー場になるというイタリアとフランスの国境の山。

すごくグレートだが、かなりハードな道なき道だ。

 

あまりの険しさに途中であきらめて、

「僕はここで待っている」と言ったのだが、

しばらくすると一度は上まで登って行ったXR600の「ウエリー」が戻ってきてくれた。

 

「行ける!行ける!COME ON」と叫んで励ましてくれる。

 

僕は根性出して、ガレキの山をなんとか登った。

そこまでいくと、なだらかで見晴らしのいい高原だった。

さらにどんどん登っていくと、今度は本当の山!もう登山道だ。

 

僕は、今度は「これ以上無理!」とあきらめたが、

スイス人チームの面々は桁外れにスゴイ!

 

10名中3名のライダーは、見えるか見えないかの点になるくらい

高原の山の上まで登って行ってしまった!

 

その他の7名は途中で引き返してきたが、

迎えに戻ってきてくれた「ウエリー」はてっぺんまで登っていた。

日本で知るライダー達とのレベルの差を痛感しながら、

そのライディングの巧さに感動!!

 

そしてやっと山を下りようとすると、

900匹の羊の群れと遭遇。

 

羊飼いのおじさんに、「こんな所までバイクで来てはダメだ」と

怒られているようだった。

 

スイスメンバーのリーダー格のピートが、

持っていた「スイスナイフ」をプレゼントしたら、

おじさんの機嫌は良くなり、ノープロブレムということになった。

 

その後、もうすぐ山を下りるというところまで来て

気を緩めたところで、スキー場の急斜面に入り込んでしまった!

 

急斜面でコントロールを失いかけて蛇行してしまい、

サーカスのような状態で、ギリギリ転ばずに落ちるように山を下りた。

 

パニックのような下り方だったので、僕のバイクから荷物が落下!

買ったウイスキーの袋も落っことしてしまった!

 

ウエリーが袋を拾ってきてくれたが、水が滴っている。

 

「あ~あ、やっぱりウイスキーはダメだったか」・・・

と思ったが、割れたのはミネラルウオーターの瓶!

ラッキーなことに、「オールドクロウ」は無事だった(‘◇’)ゞ

 

やっとハードな山岳ツーリングを終えて、

スイス人チームのみんなと一緒に、

山の中の小さな街のレストランに繰り出した。

 

レストランの前の道で、ピートがTT600でウイリーショウを披露!

片手でピースサインをしながら前輪を持ち上げ、

ターンするときは、鮮やかなブレーキターンでツ~~と滑るように回る!

レストラン客にも街の人にもウケていた!!

 

日本で同じことをやったら暴走族と間違われそうだが、

圧倒的なテクニックのオフロード耐久レースの達人の技は

あまりにも鮮やかで、全く別次元!

スケートショーのようだった。

 

レストランでは、「ノリー、今日、君はチームのゲストだ!」と言ってくれて、

スパゲティディナーをご馳走してくれた!!

このスイス人チームの名は「エンデューロ4TACT(フィアタクト)チームBASEL」。

(※4TACTは4ストロークの意味)

なんと、この休暇中のキャンプに、僕を仲間に迎え入れてくれることになり、

一緒に山岳ツーリングを楽しませてくれることになったのだ!!

 

もう一人じゃない!

アローンじゃない!

みんなと一緒に山を走れるんだ!!

これこそが、この旅で探し求めていた「夢」そのものだった!

 

To Be Continued

 

 

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