今週も「不定期連載」の海外バイクツーリング冒険記…
…先週に引き続き「連載」の続きをお届けします(笑)
(この冒険記は1986年当時の日記とアルバムを基にした書き起こしです)
宿を予約せず、ルートも大まかに決めて行動する、
自由気ままな単独バイクツーリング。
気に入った場所を見つけたら、
そこで思いっきりのんびりと過ごす。
こんな贅沢な時間の使い方は最高ですが、
気を付けないとヤバイことも起こります。
少しずつ「教訓」というアイテムを手に入れながら、
ヤバイ事をクリアしつつ僕の旅は続いていきます。
さて、今回はどんな教訓を得たのでしょうか?
今回のテーマは、
海外バイクツーリング冒険記(スイス編その2)~教訓!ヤギを侮るな!~
ぜひ、お読みください。
(‘◇’)ゞ
【インターラーケンからグリンデルワルドへ】
1986年8月28日、
スイスのNeuchatelのユースホステルを出発 !
国境から高速をすっ飛ばして約1時間半、インターラーケンが近づいてくると、
大きな壁のようにデカい岩山の絶壁が目前に迫ってくる。
大迫力のパノラマを見ながら、インターラーケンからグリンデルワルドに向かう道は、
なかなかのワインディングロードだ。
13時頃にグリンデルワルドに到着したが、雨がポツリと降ってきた。
今日は、早々にグリンデルワルドのユースホステルにチェックイン。
そこで知り合った「谷さん」という日本人旅行者と一緒に、
こっそりユースホステルにワインを持ち込んで飲むことにした。
コープ(生協)で買ったワインは、ビンを30円(2.7フラン)で購入して、
240円払うと、1リットルも入れてくれるというお手頃なワインだったが、
これが旨かった!
グリンデルワルドは日本人観光客でいっぱいの街。
ここのYH(ユースホステル)にも日本人がいっぱい。
美味しい夕食に、持ち込みワインで、
たくさんの日本人と一緒に盛り上がってしまった。
YHにはガットギターが備えつけてあったので、
それを弾きながらみんなで歌って大騒ぎ。
「Stand By Me」「Let It Be」「Bring it on Home to Me」など、
みんなが知っている曲を、その場に集まったみんなで合唱していると、
さらに20人ほどのお客さんが集まってきた。
あとで、日本人のイノ君が、ギターケースを開けて置いとけば、
100フランくらいは入ったよね~と言っていたけど、
そこまでヤッてしまたら、YHの責任者にダメ出しをくらったかも!?
【グリンデルワルドからユングフラウへ】
1986年8月29日 晴れ時々曇り
一筋の光明が見えるような朝の空。
迷いに迷ったが、高額の観光電車に乗ってユングフラウに行ってみることにする。
8月の末というのに、気温は10℃~15℃くらい。
目の前にそびえる「アイガー」には、昨夜降った新雪が積もっている。
街のどこに立ち止まっても、周辺を見渡すと、7~8人の日本人が目に入ってくる。
スイス経済の約25%は、観光収入に頼っているそうだ。(当時)
牧歌的な印象の街だが、
高い登山列車に乗っているのも、日本人ばかりだ。
しかし、次第に良くなった天気のおかげで、ユングフラウは雲の上だった。
真っ青な空と、真っ白なユングフラウ、そして眼下には雲海。
言葉でもきっと写真でも表せない素晴らしさだった。
スイスの観光地らしく、予約もせずに突然訪ねたユースホステルは、
一件目は、スイス軍の訓練で貸切となっていて断られ。
二件目は、なんと夏のシーズンが終わったということでクローズ。
三件目のYH「Chateau de Oex」に、やっとチェックインできた。
【青空のもとでランチ…ヤギにご用心!】
1986年8月30日 晴れ
同室の気のいいドイツ人クラウス君はじめ、
6人で一緒に朝食を楽しんだ。
YHの朝は早く、バタバタと身支度をして出発。
ルート115の国境の手前あたりで、ちょっと脇道の林道にそれてみた。
岩をくりぬいたようなトンネルをくぐると、
カレンダーの写真のような山の中腹のスイスの村に出た。
そこからさらに登っていくと、
エメラルドグリーンの美しいダムを見つけた。
ここでランチにしようと、
エンジンを止めた瞬間に、一人の時間になる。
遠くにはヤギがメ~メ~鳴き、牛がモ~モ~言っている。
もっと遠くには、白い雪を纏った高い山が聳え立っている。
なんとも言えない、美しい世界だ。
耳を澄ますと、聴こえる音は、水の流れる音と、
牛とヤギのつけているカウベルの「カランカラン」という音。
そして、時々遠くに聴こえる「メーメー」という鳴き声という素敵な世界だ。
ランチを広げて食べていると、
なんだか「カランカラン」という音が大きくなってきた。
見ると、カワイイヤギが、少しずつゆっくりとこっちに近づいてくる。
カメラと取り出して、ちょっと不安は感じつつも、
もっとこっちに来ないかな~と待ち構える。
ヤギはほとんど子ヤギかな~という感じだけど、
全部で20頭ほどの群れの中に、一匹だけ立派な角をもった親分ヤギがいる。
30メートルくらい手前まできて、一度ヤギの群れは座り込んだ。
しばらくすると子ヤギが一匹、ほとんど僕の目の前までやってきた。
写真を撮っていると、なんと僕のランチに向かって迫ってくる。
たまりかねて、パンの袋と遠くに投げた。
すると、そこはもう、ヤギのパニックの世界!!!
はっきり言って、ヤバイ、コワイ!!!
パンを取り損ねたヤギの群れが、直接僕と、僕の昼食にアタックしてくる。
まだ一口も食べていないフランスパンも取られた!
ヘルメットに頭を突っ込んでいるヤギもいる!!
さらに立派な角の親分ヤギまで僕に迫ってくる。
これはヤバイと、なんとか荷物を小脇に抱えてバイクのエンジンをかけた。
エンジン音に驚いたヤギは、一瞬ひるんだが、
音になれると、またバイクの周りに集まってくる。
カメラの三脚を振り回して、やっとヤギを退かして、
バイクで逃げだした。
よく見ると、ちょっと向こうには、なんと牛が来ている。
もし、牛にアタックされていたらと思うとぞっとした!
とにかく、山を少し下って、場所を変えて、
パンはとられて無くなってしまったが、
缶詰だけのランチを楽しんだ。
パンがないのは悔しいが、景色が素晴らしいのでこれでも満足だ。
やっとほっとしてくつろいだので、
この前のYHでのライブを思い出して「Bring it on Home to me」を歌った。
(なんか遠くから「Yeah~」と掛け声がと聴こえてきた)
・・・とかなんとかやっていると、
なんと、また「カランカラン」とヤギの音!
上を見ると、さっきのヤギの群れ!!
(聴こえたのは「Yeah~」ではなくて、「メー」だったのだ!!)
こりゃたまらんと、慌てて荷造りをして山を降りた!!
教訓!ヤギを侮るな!
~危険!動物にエサを与えてはいけません~
山を降りた谷底にあたるところは、スイス⇒フランスの国境。
検問所みたいなところはあったが、
バイクのオランダナンバーを見たら行け行けとのジェスチャー。
パスポートも見せずに通過してフランスに入国した。
To be continued