こんにちは、SKIコーポレーションの中村徳裕です。
残暑の厳しい日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日は「古いものを手入れし、大切に直しながら使い続ける幸せ」についてのお話です。
ぜひ、お読みください(‘◇’)ゞ
◆ 妻からの大切な贈り物「Gaerne(ガエルネ)」のブーツに異変!?
今から約6年前の2020年春のこと。 私はかれこれ約40年近く愛用している愛車、
1986年式のバイク「Honda XLR250R」のお手入れをしていました。
それまで履いていたバイク用ブーツは、外側の革はしっかりしているものの、
プラスチックや合成皮革の部分がボロボロ・ベタベタに劣化して
使えなくなっており、やむなく長靴を履いて作業をしていました。
そんな私の足元を見た妻から「それは作業用?まさかその長靴を履いてバイクに乗るの?」
と尋ねられ、僕も「これじゃバイクには乗れないよね」と答えると・・・
笑いながらプレゼントしてくれたのが、イタリアの名門ブランド「Gaerne(ガエルネ)」の
素晴らしいオフロードブーツでした。上質な革で仕立てられた憧れのブーツ。
足元を見るたびに妻への感謝が湧き上がり、
私は定期的にミンクオイルを塗り込みながら大切に手入れを重ね、
6年以上愛用してきました。
ところが先日、ふと足元を見ると、左足の甲にあるシフトガード
(ギアチェンジの衝撃からブーツと足を守るプラスチック製の補強パーツ)が、
パリパリに割れて剥がれ落ちかけていることに気づいたのです……!
「本革の部分は手入れが行き届いてピンピンしているのに、
なぜプラスチックのガードだけが割れてしまうんだろう?」と
途方に暮れてしまいました。
(※ 写真はまだ割れ始めたころの初期段階のものです)
◆ なぜ本革は生き残り、プラスチックは割れるのか?
実はここには、現代の化学素材ならではの
「加水分解(Hydrolysis)」という現象が関係しています。
現代のヨーロッパ製ギアなどに使われるプラスチック
(ポリウレタン系樹脂等)や合成皮革は、
環境に配慮した素材で作られている反面、
空気中の水分と反応して分子が切断される宿命を持っています。
履いていなくても、製造された瞬間から「寿命(2〜5年程度)」の
タイマーが回り始め、ある日突然パリッと割れてしまうのです。
一方、天然の本革(リアルレザー)は、丁寧にお手入れさえしていれば
10年、20年、あるいは一生涯にわたって強靭な耐久性を保ち続けます。
「本革は生きているのに、パーツだけが賞味期限を迎えてしまった……。
でも、妻からもらった大切なブーツを諦めたくない!」
そう思った私は、普段から革靴の手入れや修理でお世話になっている、
戸尾市場(松川町)の端っこにある「金﨑靴修理屋」さんへ相談に駆け込みました。
◆ 佐世保の職人技!プラスチックから「本革カスタム」への奇跡
店長の 浦 敦司さんは、修行を積まれた確かな技術を持つ職人さんです。
傷んだブーツをお見せすると、浦さんは温かい笑顔でこう提案してくださいました。
「同じプラスチックパーツを探して貼ることはできませんが、
元と同じカットで『黒い頑丈な革』を貼り付けて仕上げましょう。
それなら完璧に直りますよ!」
予算はなんと4,000円(+税)。2〜3週間楽しみに待って
仕上がってきたブーツを見て、私は思わず声を上げました。
「前のプラスチックの時より、デザインも引き締まってグレードアップしている……!」
加水分解で壊れるプラスチックから、一生付き合える本革へ。
職人の手仕事によって、単なる修理を超えた
「世界に一つだけのカスタムブーツ」として蘇ったのです。
昨今の物価高や円安で買えば高価なブーツですが、
合理的な予算でこうして命が吹き込まれ、
また一緒に走れることが心から嬉しくなりました。
◆ 38年目の現役!1986年式「Honda XLR250R」に見る昭和の誇り
このブーツを履いて跨る私の相棒、1986年式の「Honda XLR250R」もまた、
モノづくりの凄みを教えてくれる存在です。
驚くべきことに、38年前に作られたこのバイクは、
外装のプラスチックもゴムパーツも一切割れず、
ほとんどのパーツがベタつかず、(一部のパーツは更新しています)
今なお現役で元気に走り続けています。
調べてみると、当時のホンダ車は、
加水分解を起こさない「ポリプロピレン」という超強靭な樹脂を贅沢に使い、
バブル前夜の過剰品質(オーバークオリティ)とも言える
妥協なき耐久性で作られていたからです。
コンピューターもバッテリーすらもなく、
エンジンをかけるのは自分の足で踏み込む「キック」のみ。
数ヶ月ぶりに動かす時も、キック5発ほどで
「ボボボッ!」とエンジンに魂が吹き込まれます。
超シンプルな構造だからこそ、壊れるところがありません。
乗った後は必ず水で洗い、乾いたらCRC(潤滑油)をスプレーし、
大切にカバーをかけて保管する。
この手入れの時間もまた、私にとってかけがえのない癒やしのひとときです。
◆ 結びに:手入れと手仕事で、お気に入りと一生付き合う
現代の製品は環境への優しさと引き換えに、
どうしても製品寿命が短くなる傾向があります。
だからこそ、昭和の時代に作られたタフでアナログな製品を愛おしみ、
壊れた部分は熟練の職人さんの手仕事でアップデートしながら付き合っていく。
そこには、新品を買い替えるだけでは絶対に味わえない
「深い愛着」と「幸せ」が存在します。
皆様のクローゼットや物置にも、
革は無傷なのにパーツが痛んで眠っているお気に入りはありませんか?
ぜひ街の職人さんに相談して、新しい息吹を吹き込んでみてくださいね。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
SKIコーポレーション 中村徳裕
【今回お世話になったお店のご紹介】
金﨑靴修理屋(かなさきくつしゅうりや)
所在地: 長崎県佐世保市松川町1-13(戸尾市場エリア)
特徴: 靴や鞄、革製品に「もう一度、命」を吹き込んでくれる温かい専門店です。
LINEでの事前写真見積もりにも対応されています。




